金属系アンカーに関するFAQ

金属系アンカーに関して寄せられるご質問をまとめています。
確認したい項目をクリックしてください。

全般 | HDAセルフアンダーカットアンカー | HSLアンカー | HSAアンカー | HUSアンカー | HKD・HKVアンカー |
HDI-Pアンカー | 火災時のアンカー耐力

全般

ヒルティの接着系アンカーにはRoHS指令の 対象物質が含まれていますか。

ヒルティの金属系アンカーはRoHS指令で規制されている物質を含んでいません。

金属系アンカーと接着系アンカーの固着原理の違いはなんですか。

接着系アンカーは接着力と支圧効果により引張耐力を発現させるのに対して金属系アンカーは摩擦効果と支圧効果により耐力を発揮しています。またアンダーカットアンカーでは摩擦効果はほとんど無く、ほぼ支圧効果で耐力を発揮しています。

ヒルティ製金属系アンカーを打設する際、ヒルティ製のドリルビットの使用が必須ですか。

ヒルティ製金属系アンカーはヒルティ製ドリルビットで正しく拡張しアンカーとして機能するように設計されています。また、ヒルティ純正のドリルビットを使用して各種試験をしてデータを取得・公表していますので、ヒルティ製アンカーを打設する場合は純正ドリルビットの使用をお勧めします。

HDAセルフアンダーカットアンカー

アンダーカットアンカーはなぜ他のアンカーに比べて信頼性が高いと言われるのですか。

一般的な金属拡張アンカーは摩擦と支圧による荷重伝達で固着しますが、アンダーカットアンカーは大きな支圧(引っ掛かり)によって固着するため拡張機構が明確であり、振動やひび割れなど環境条件による影響が小さいことから長期耐久性に優れています。

HDAセルフアンダーカットアンカーの特長はなんですか。

ヒルティのHDAアンカーはアンカー本体で拡底部を作るため、特殊な穿孔機械や拡底作業を必要としません。したがいまして、大幅な作業工程や時間短縮が可能になります。

PタイプとTタイプの違いはなんですか。

HDA-Pアンカーはアンカー打設後に取付物を固定するタイプで、取付物のせん断力はアンカーボルトのねじ部の断面積で受けとめます。
HDA-Tアンカーは取付物を仮設置後その下穴の上からからアンカーを打設するタイプで、アンカーのせん断力はねじ部 + アンカースリーブで受けとめることになります。引張耐力は同じですが、せん断耐力はPタイプよりTタイプの方が大きくなります。

ステンレス製HDAアンカーは有りますか。

HDA-PR,HDA-TRアンカーがステンレス製になり、M10、 M12、 M16の3サイズがあります。

コンクリートに打設されたHDAアンカーを撤去することは可能ですか。

はい可能です。M10、M12、M16、M20各サイズ毎に専用の「取り外し工具」を用意しています。

HDAアンカー技術資料に記載されている「ひび割れを想定するコンクリート」とは何を意味するのでしょうか。

ヨーロッパでのあと施工アンカー試験項目オプションにクラックコンクリートでの性能評価項目が有ります。HDAアンカーは0.8mmのクラックに対して、静的・動的な試験項目をクリアしており、クラックコンクリート性能評価基準C2認証を取得しています。

HSLアンカー

HSL4アンカーの材質は何ですか。

HSL4アンカーのサイズラインナップはM8-M24で、ボルト材は炭素鋼、強度区分8.8の鋼材を採用しています。

HSL4アンカーの穿孔径はいくつですか。

アンカーボルトにスリーブが組み合わされていますので、ボルト呼び径に対して穿孔径が大きく、M8で12mm、M10で15mm、M12で18mm、M16で24mm、M20で28mm、M24で32mmとなっています。

HSL4アンカーの特徴は何ですか。

せん断力はアンカーボルトとスリーブの両方で受けますので、許容せん断耐力が高いのと、クラックに対するETA-C1およびC2認証を受けていますので、将来的にクラックが発生する可能性のあるコンクリートでも許容安全荷重が確保できるのがHSLアンカーの特長です。

HSL4-Bアンカーの赤キャップはどんな役割をするのですか。

赤キャップと六角ボルトの頭部はシアピンで接続されています。レンチで赤キャップを締め付けると一定のトルク値に達したときにシアピンが破断して規定の締付完了となります。

HSL4-Gタイプアンカーボルト先端の二面幅(小判)形状はどんな役割をするのですか。

ナットを締め付けて取付物を固定させる際にスパナなどを掛け全ネジボルトの出代を調整することが可能です。またナットを既定のトルク値で締め付ける際にボルトとナットが同時に回らないように固定させる役割をしています。

コンクリートに打設されたHSL4アンカーを撤去することは可能ですか。

はい、一部可能です。HSLアンカーは六角ボルト(または全ネジボルトとナット)、金属スリーブ、プラスチックスリーブ、拡張スリーブ、拡張コーンの各パーツから構成されていますので、アンカーボルト本体と金属スリーブまでは撤去可能です。

HSAアンカー

HSAアンカーの埋込み長さ、①、②、③の意味が良くわからないのですが。

HSAアンカーは取付物厚みによって埋込み長さが変わります。また埋込み長さによって許容安全荷重も異なります。これを判り易く3段階の埋め込み長さで表示しています。
HSA M10x113 50/40/10 (全長113mm)を例にしますと、留付物の厚みが50~41mmまでが①浅打ち施工、40~11mmまでが②標準施工、10~1mmまでが③深打ち施工となります。
アンカー全長が短いものは①浅打ち施工のみで②③の対応ができないものが有ります。

「穿孔深さ」「埋込み長さ」と「有効埋込み長さ」の違いはなんですか。

HSAアンカーの場合、埋込み長さに関する表示が3種類あります。

穿孔深さ :
最小穿孔深さの意味合いです。①②③の各留付け物の数値によって3段階の数値が有ります。
HSA M10x113 50/40/10 アンカーを例にしますと、穿孔深さは、①55mm、②65mm、③95mmとなりますが、取付物厚みが45mmの場合の穿孔深さは、①穿孔深さ55mm + (50 - 45 = 5)mm の60mmの穿孔を行う必要があります。

埋込み長さ:
アンカー挿入し、基準のトルクを導入する前のコンクリート表面からアンカー下端までの寸法です。
同じサイズのHSAアンカーでも留付け物の厚みによって埋込み長さは異なります。

有効埋込み深さ:
アンカー拡張部になるウエッジ部の埋込み長さです。
アンカー打設挿入時に「埋め込み長さ」を設定すると自動的に有効埋込み長さが規定され、アンカーナットに基準トルクを掛けてアンカー拡張させても有効埋込み長さは最初に設定した寸法のままとなります。

「穿孔深さ」 > 「埋込み長さ」 > 「有効埋込み長さ」 の関係となります。

ボルト部にマーキングされたブルーリングの意味を教えてください。

HSAアンカーは、ひとつのアンカーボルトで①浅打ち施工、②標準施工、③深打ち施工が可能になっているものがあります。この標準施工②でのアンカーセッティング位置(埋込長さ)を表示する意味でブルーリングをマーキングしています。アンカー挿入時にブルーリング全てが埋没する位置にセットしますと、規定の埋込長さと有効埋込み長さが確保できたということになります。この状態から、HSAアンカーに既定のトルクを掛けて拡張させると、ウエッジ部分はコンクリートに固定した状態で、アンカー軸部だけが引き上げられ、規定のアンカー拡張が行われます。

HUSアンカー

HUSアンカーの固着原理はなんですか。

HUSアンカーは先に穿孔された指定の下穴に、インパクトレンチでねじ込みを行い、その際にコンクリート孔面に新たな溝を作り、その溝とアンカーがかみ合いながら固着するアンカーです。

HUSアンカーの特徴はなんですか。

HUSアンカーは、打ち込み方式のように叩き込んで拡張させる方式ではないので、コンクリートに大きなストレスを与えなくてクラックが入りずらい特徴があります。このため、ヘリあき寸法やアンカーピッチは他の金属拡張系アンカーよりもも少なくて済みます。

HUSアンカーは緩むことはないのですか。

一般的な金属系アンカーは丸ワッシャとナット間とナットとボルト間での摩擦抵抗でゆるみ防止となっていますが、HUSアンカーの場合はアンカー本体の座付きナットとコンクリート面での摩擦抵抗のほかにアンカーのネジ様部とコンクリート切削面との全面摩擦力が働きますので、許容安全荷重内で使用される場合は緩むことはありません。

HKD・HKVアンカー

HKDアンカーに他社製打ち込み棒は使用できますか。

打ち込み棒を製造しているメーカーによって打込ストローク(段付き部の長さ)が異なります。他社製打込棒を使用すると、打込不足や打込過多となります。HKDアンカーを使用する場合はヒルティの純正打込棒を使用してください。

HKDアンカーに接続するボルトはどのくらいねじ込めばよいですか。

めねじアンカーの場合、基本的には内ねじ径と同じ長さかそれ以上をねじ込んでください。

HDI-Pアンカー

HDI-P3/8Wアンカーを圧縮強度Fc=21N/mm2の普通コンクリートに使用できますか。

HDI-P 3/8W アンカーはハーフPC板、穴あきPC板などの高強度コンクリートでの使用に限定しておりますので普通コンクリートでの使用はできません。

火災時のアンカー耐力

ヒルティの金属系アンカーが火災を受けたときの引張耐力データはありますか。

ヒルティの金属系アンカー 、HDAアンカー、HSLアンカー、HSAアンカー、HUSアンカー、HKDアンカーなどは標準加熱温度曲線(ISO834,DIN 4102 T.2)に沿った火炎実験を行っています。試験データはF30(着火から30分後、約945℃)、F60(同60分後、約975℃)、F90(同90分後、約1000℃)、F120(同120分後、約1020℃)での4段階での残存耐力データがあります。
またはヒルティホームページの技術マニュアルからも参照いただけます。

HDA M16アンカー が火災を受けたときの残存耐力はどれくらいですか。

HDA-P/-T M16アンカーの場合、F30=15.0、F60=7.0、F90=4.0、F120=3.0(kN)です。ステンレスSUS316のHDA-PR/-TR M16アンカーの場合は、F30=50.0、F60=15.0、F90=7.5、F120=6.0(kN)となり、HAD-PT/TRアンカーの場合の材質がステンレスSUS316の方が火災時の残存耐力が大きくなります。