
正しく適切なアンカーを選択し安全性を確保するためのヒントをご紹介します。

コンクリートへのアンカー留付けは、設計段階で軽視されてがちな設計ディテールの一つです。 実際の数量とコストは、建物全体からすると小さくても、作業全体の安全性に大きな影響を与える可能性があるため、アンカーの設計検討は非常に重要と言えます。アンカー(またはアンカーシステム)には、もともと別々の2つの異なる材料 (例: スチールアンカープレートとコンクリート母材) を接合する重要な役割があります。そしてこれには、以下のような困難な条件となる可能性があります:
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- アンカーの留付け位置から母材に伝達される荷重が、構造全体で最大値になることは珍しいことではありません。
- 位置や形が常に好ましい条件とは限らず、限られたアンカーピッチと小さいへりあきの場合、正しいアンカー形状の選定はより難しくなります。(そして母材自体の耐荷重に影響を与えます)
ウェッジ式アンカー:一般的なファスニングソリューション
ウェッジ式アンカーは、テーパー付きボルト、ウェッジ、ワッシャー、および締付け用のナットで構成されています。(図に示すような、ウェッジ式アンカー HST3 の場合)

アンカーの固着原理を理解するには、アンカー自体がどのように留付けられているかを確認する必要があります。ドリルで穿孔し、清掃した孔に、ハンマーで(手動またはセッティングツールを使用して)ウェッジ式アンカーを孔の中に挿入します。次に、設置するベースプレートを配置し、規定のトルク値(締め付けトルク)でナットを締めて取り付けを完了します。トルク締付けにより、テーパー部が引き上げられ、ウェッジが拡張し、コンクリートとの摩擦によって発生する円状の支圧力により、引張強度を発揮します。
ウェッジの拡張による応力分布
ひび割れを想定したコンクリートでは、全てのウェッジ式アンカーが同じ性能を発揮するわけではありません。
施工後にひび割れが発生した状況下では、ひび割れを考慮して設計がされていないウェッジ式アンカーは、引張性能を失い、抜け破壊する非常に高い可能性があります。これは、コンクリート構造物の使用期間を通じて、ひび割れが開閉する際に、特に顕著におきる可能性があります。最悪な状況の場合には、想定外のアンカー挙動を起こしたり、破壊にも繋がります。
では、ひび割れにはどのように対処できるでしょうか?
まず、使用条件を考慮した製品認証プロセスによって、試験および性能評価がされたアンカー製品のみを使用することを検討します。それにより、設計条件下で実際の留付けの挙動を予測することができます。荷重が作用したコンクリートが絶対に引張領域にならない確証がない限り、コンクリートのひび割れを想定した認証を取得したアンカーを使用することが現実的な選択となります。また、地震が発生する地域での設計には、耐震認証の製品の使用を検討します。用途に応じて使用するシステム(ひび割れおよび地震に対する高い性能を活用したウェッジ式アンカー設計を行うため、ここをクリックして HST3 の製品ページを確認)の European Technical Assessment document (ETA) を参照します。 そして、適切に PROFIS Engineering のような信頼性の高いソフトウェアを使い、設計を行っていきます。
締付けトルクに注意します。
コンクリートへの留付けでは、ボルト先端のテーパー部が、ウェッジ内に引き上げられ、要求された支圧力を発揮するよう適切な位置に来るように、正しいトルクを適用することが重要となります。
締付け不足の場合、テーパー部の位置が正しくない、つまり、設計上必要な耐力値を確保するには、ウェッジの拡張が十分ではありません。引張荷重が加わることでアンカー軸部が移動し、テーパー部が正しい方向に引っ張られます。言い換えれば、アンカーは緩んでいて、荷重が作用することで正しい位置に納まります。最大荷重または耐力値を満たしても、アンカーは意図した位置からわずかに外れます。その結果、予期しない変位を伴う設置となってしまいます。
締付け過ぎの場合、テーパー部がウェッジ内に引き込まれ過ぎ、スラブ端部近傍、または、スラブ中央での施工では、いくつかの懸念が生じます。スラブ端部でアンカーを過剰なトルクで締付けると、過度の支圧力により、取付物への載荷前であっても、コンクリートが破損する場合があります。
端部近傍での過剰な締付けトルクでコンクリート剥離が発生
スラブ端部から離れているアンカーに過剰な締付けトルクがかけられると、トルクによる捩りモーメントによってボルトが損傷したり、捩じ切れる可能性があります。その結果、引張、せん断、または引張とせん断の組合せでは、破断点までの鋼材破壊の荷重が明らかに低下します。
アンカー施工者は、正しい締付けトルクが適用されていないリスクを認識していない可能性があります。常に安全側となるように、プロジェクトの施工要領書や図面に正しいトルク値を記載する、または、設置時の状況を文書化します。AT システムを使用しすると、正しく締め付けられているか確認、それらすべて施工時に記録し、検査のための報告書を作成することができます。
アプリケーションのヒント
一般的に、ウェッジ式アンカーは、中~重量物の留付けにおいて、150 mm 以下の埋込み長で良好な性能を発揮する必要のある、非構造および構造用途に使用されます。施工時の養生時間が不要なため、接着アンカーよりも好まれます(一方、より深い埋込みが必要な場合は、接着系アンカーの方が適しています)。
もし、これからアンカー設計を始めるのであれば、 この記事を読んだ後、ウェッジ式アンカー HST3 で最初の設計を行ってはいかがでしょうか。円滑に進めるために、ぜひ PROFIS Engineering ソフトウェアをご利用ください。