腐蝕環境での鋼材への留付け

腐蝕環境での鋼材への留付け

ヒルティは鋼材への留付けに早く、信頼性の高い、効率的なソリューションを幅広く提供しています。

エネルギー産業および工業分野などの腐蝕を伴う環境に適しています。

中規模から大規模なプロジェクト現場で、留付け物を構造用鋼材に取り付けるために100,000か所の留付けが必要な場合、より早く耐蝕性のある工法が常に求められてきました。 このように多くの留め付けが必要な場合、石油およびガス、石油化学、電力およびインフラプロジェクトなどの耐腐蝕性が求められる環境では、構造用鋼材へ取付物を早く、信頼性高く、効率的に留め付ける工法は設計技術者・施工者の両者から歓迎されます。 その他の問題として、取付物(グレーチング、支柱、導管、ケーブルトレイ、配管、電気ボックス、計装パネルのサポートなど)とファスナーは過酷な天候、汚染、沿岸環境に晒されるので、耐蝕性が必要となります。 構造用鋼材は特定の環境に応じて、適切な耐蝕性を発揮できるよう、溶融亜鉛メッキまたは塗装が施されます。 しかしながら、取付物を留付ける際に、設計者と施工業者は構造用鋼材の耐蝕性が損なわれないことを保証する必要があります。 これらの条件下で使用される従来の留付工法には、溶接、通しボルト、クランプがあります。 ここでは、これら従来工法をヒルティの鋼材への留付工法と比較し、ヒルティの方法がいかにして時間と費用の効率化に貢献できるかを示します。

鋼造物の腐蝕

腐蝕とは?

腐蝕とは金属とその周囲の環境との間の物理化学的相互作用であり、その結果として金属の特性に変化をもたらし、金属、環境あるいはそれらが構成するシステムに重大な機能不全をもたらすことがあります(参照 ISO 8044:2010)。 建築および工業上の腐蝕は、炭素鋼、ステンレス鋼、亜鉛、銅、アルミニウムなどの金属で作られた構造材と取付物に大きな影響を与えます。 世界の鋼材年間生産量のおよそ 5分の1は、腐蝕によって損傷を受けたものの交換に使用されていると推計されます。 これはかなりの経済的損失に相当しますが、さらに大きな懸念は安全性のリスクであり、腐蝕により留付けシステムの不具合につながる場合があることです。

鋼材への留付けの従来工法

溶接

グラインダーを用いてコーティングされた鋼材の表面の下処理をします

表面の下準備

  • グラインダーなどでコーティングされた鋼材の塗装をはがすのには時間がかかり、危険な火花が伴います。
鋼構造材へチャネル材を溶接します

鋼構造材へのチャネル溶接

  • 経験豊富な認定溶接工が必要です。
  • 外部電源供給が必要となりますが、一部の現場では外部電源の準備が困難な場合があります。
  • 一部の現場では火気使用許可と専属の火気監視人が必要になる場合があります。
  • 溶接作業は天候に左右されます。
溶接部周辺をタッチアップします

表面の清掃とタッチアップ

  • 塗装する前に、溶接した部分が冷めるまで待つ必要があります。
  • 石油およびガス業界で一般的な多層塗装では、乾燥時間を含めて 3 日から 6 日間かかります。すなわち、タッチアップは高コストで時間がかかると言えます。

通しボルト

鋼材を貫通する穿孔

マルチステップのドリル穿孔

  • ドリルで穿孔する工程は、鋼材の厚みと硬さによっては時間のかかる作業です。
  • 穿孔作業で露出した部分は、腐蝕を防ぐために適切なコーティングを施す必要があります。
所定の位置にチャネルを固定します

チャネル固定

  • 両側へのアクセスが必要です。
  • 施工者は落としたり、紛失したりする可能性のあるナット、ワッシャー、ボルトなどの小さな部品を持って作業する必要があります。

クランプ

クランプとチャネルを所定の位置に設置します。構造用鋼材の両側へのアクセスが必要となります。

クランプとチャネルを所定の位置に設置します

  • クランプは構造用鋼材に対して特定の方向に取り付けるので、取付物の取り付け方向は限定されます。
  • 構造用鋼材の両側へのアクセスが必要になります。
  • 溶融亜鉛メッキやステンレス鋼などの耐蝕性クランプは素材コストが非常に高く付きます。
留付けを完了します。

留付けの完了

  • 適切な締め付けは必要ですが、過度に締め付けると鋼材のコーティングに損傷を与えます。
  • クランプが振動に晒される場合、定期的なメンテナンスが必要になります。

革新的なヒルティの鋼材への留付工法

ヒルティは、従来工法の困難な点を削減または取り除くことができる、多様な腐蝕環境に対応出来るようにカスタマイズした、様々な方法を提供しています。 腐蝕環境と母材の種類・厚みによって、ヒルティは 3 つの留付工法のソリューションを提供しています。 これらのソリューションにより、構造用鋼材と取付物の接合部の耐蝕性を維持することができます。

鋼材への留付けの早く、信頼性の高い 3 つのソリューション

シャープチップ留付けの鋼材断面図

シャープチップ留付

シャープチップステンレス製ファスナーが火薬式鋲打機によって母材に打ち込まれる留付け技術が、高品質な留め付けを実現します。

  • 留付けが数秒で完了できる箇所への、高頻度の留付けに適しています。

鋼母材への貫通が許容される中程度の腐蝕環境向けステンレス製ファスナーです。

ブラントチップ留付けの断面図

X-BT ブラントチップ留付け

滑らかな円筒形または円錐形シャンクのブラントチップステンレス製ファスナーを、火薬式または電動式の鋲打機によって、母材にあらかじめドリルで開けられた穴へ打ち込む画期的な留付けテクノロジーは、高品質な留め付けを実現します。

  • 母材に非貫通のアプリケーションでは、耐蝕性コーティングへの損傷はありません。
  • 1箇所あたり2分以内に留付けることができます。

高程度の腐蝕環境向けのステンレス製ファスナーです。

中程度の腐蝕環境向け繊維強化プラスチック (FRP) /ステンレス製ファスナー。

ブラントチップねじ留付けの断面図

S-BT ブラントチップねじ留付け

ねじタイプのシャンクを持つブラントチップステンレス製ファスナーを、トルク制御スクリュードライバーにより、母材にあらかじめ開けられた穴へ打ち込む画期的な留付けテクノロジーは、セルフタップしながら貫入することで耐力を発揮します。

  • 非貫通アプリケーションでは、耐蝕性コーティングへの損傷はありません。
  • 1箇所あたり2分以内に留付けることができます。

高程度の腐蝕環境向けのステンレス製ファスナーです。

中程度の腐蝕環境向けのデュプレックスコーティングファスナー。

S-BTの動画はこちら

従来工法と比較した特徴

グラインダーを用いてコーティングされた鋼材の表面の塗装を除去します。
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母材への下準備とタッチアップの手間を省きます。

溶接や通しボルトとは異なり、ヒルティの留付けソリューションは母材の下準備や留付けが終わった後のタッチアップの必要がありません。 これにより、信頼性の高い防蝕を実現しながら、全体的な設置作業がはるかに迅速に行えます。

鋼構造材へチャネルを溶接します
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熟練した溶接工は必要ありません。

ヒルティのブラントチップによる鋼材への留付工法では、訓練を受けた施工者であれば誰でも施工することができ、認定溶接技術者は不要です。 それゆえ、溶接が必要とされる他のアプリケーションに溶接技術者を配置することが可能です。

クランプには鋼材の両側(施工面・裏側)へのアクセスが必要です。
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鋼材の片側へのアクセスのみが必要となります。

通しボルトやクランプとは異なり、ヒルティの留付けソリューションは施工面のみで施工が完結します。狭いスペースに指を入れる必要がないので、施工者の安全性を改善します。

ヒルティの火薬式鋲打機を使用した留付け
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天候に左右されず、外部電力源を必要としません。

ヒルティのシャープチップソリューションは、火薬式鋲打機を用いるため、あらゆる気象条件下で使用可能です。 ブラントチップソリューションに使用される充電式ドリルは、過酷な現場条件向けに作られており、ほぼ全天候下で使用できます。 さらに、充電式工具は 22V リチウムイオンバッテリーによって駆動されるので、電源を必要としません。

鋼材への留付けにヒルティが獲得した業界認証のロゴ
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試験と認証による裏付けがあります。

ヒルティはベースとなる鋼材の様々な厚みと強度に関する包括的な技術データを提供しています。 これらのデータは、国際基準評議会の評価サービス (ICC-ES) 並びにアメリカ船級協会 (ABS) などの業界認証を取得しています。 さらに、ヒルティのブラントチップねじ留付けテクノロジーはテスト済みであり、アルミニウム母材に対しても認証を受けています。

留付け部はチェックゲージを使用して正しく埋め込まれているか確認できます。
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設置品質が容易に確認できます。

ヒルティのシャープチップおよびブラントチップファスナーはいずれも、設置後に目視やチェックゲージを使用して容易に施工確認することができます。

ブラントチップ留付けが鋼材を貫通しないことを示す断面図
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鋼材の裏側への貫通や損傷はありません。

ヒルティのブラントチップテクノロジーによる留付けは、耐蝕性コーティングへの損傷なく留め付けることができ、高程度の腐蝕環境での使用に理想的です。

どのテクノロジーが適していますか?

シャープチップ留付けを示す鋼材の断面図

シャープチップ留付け

母材:鋼

最小母材厚:6 mm

貫通:あり

必要な本体:DX 460

利用できるねじ径:M8

ファスナー素材:SS A2 相当

ブラントチップ留付けを示す断面図

X-BT ブラントチップ留付け

母材:鋼材、ステンレス、鋳鉄

最小母材厚:8 mm

貫通:なし

必要なツール:SF BT A22 および [DX 351-BT(G)またはBX 3-BT]

利用できるねじ径:M6、W6、M8、M10、W10

ファスナー素材:SS A4 相当および FRP (X-BT-MF)

ブラントチップねじ留付けを示す断面図

S-BT ブラントチップねじ留付け

母材:鋼、アルミニウム

最小母材厚:6 mm

貫通:なし

必要なツール:SBT 4-A22

利用できるねじ径:M8、M10、W10

ファスナー素材:SS A4 相当およびデュプレックスコーティング炭素鋼

主なアプリケーション

特に、高程度の大気腐蝕のある屋外、沿岸地域では建設における腐蝕はコストと安全性に大きく影響します。

建設における腐蝕

現場において腐蝕を考慮することはなぜ重要なのでしょうか?

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ヒルティの直接留付けツールを使用した、グレーチングとチェッカープレートの固定

グレーチングとチェッカープレートの固定

クランプ、溶接、通しボルトを必要としない幅広い範囲の耐蝕性、耐振動性留付けソリューション

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ヒルティの鋲打機を用いた、電気・計装の鋼材への固定

モジュラーサポートと電気・計装などの鋼材への留付け

電気ボックス、パネル、ブラケット、ケーブルトレイ、ケーブルラダーおよびその他の電気・計装などの軽量物を鋼材へ留付けます。 ヒルティのファスナーは、ヒルティのモジュラーサポートシステムと互換性があります。

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ヒルティの接地、ボンディング、落雷保護用ファスナー

電気接続

接地、ボンディング、落雷保護用ファスナー。

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